2021.04.16 就職・転職について 履歴書・職務経歴書
履歴書の職歴欄には、これまで勤務していた企業名と入社年月・退社年月を記載します。
しかし勤務先と言っても、いわゆる「会社」ばかりではありません。役所や病院、あるいは個人事務所など、さまざまな勤務先があります。
特に介護士の職場となると、民間企業が運営する介護施設や関連企業で働く人もいますが、「会社以外」の医療法人や社会福祉法人、NPO法人が運営する介護施設で働く人もたくさんいます。あるいは、病院や社会福祉協議会で活躍する人もいます。
そうした「会社以外」の勤務先を履歴書に記載する場合、一般的な「会社」のときと異なる点があるので注意が必要です。
履歴書に職歴を記載する場合、第一に注意すべきことは、勤務先の正式な名称を表記することです。
たとえば、社団法人や財団法人を(社)や(財)のように略して表記するのはNGですし、「社団法人○○○○協会」のような名称のとき、長いからといって「○○○○協会」に省略するのもダメです。
また、間違いに気がつきにくいのが、NPO法人のようにアルファベットの略称が定着しているケース。
NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」です。
略称に疑問を感じないまま、履歴書に「NPO法人○○○○」と書いてしまいがちなので気をつけましょう。
履歴書の職歴欄には、勤務先名とともに入社年月・退社年月を記載しますが、「会社以外」の場合でも「入社」と書くことができるのでしょうか?
答えは、NOです。
「入社」という言葉を使うのは、株式会社や有限会社など、いわゆる会社組織のときだけです。病院や社団法人などは会社とは言いませんから、「入社」は使えません。
そこで、「会社以外」の職歴で一般的に使われるのが「入職」という言葉です。NPO法人や個人事業所などは「勤務」や「採用」という表現を使っても良いでしょう。
例外的に、銀行は株式会社でも「入行」という独自の表記を使います。独自の表現を使う職業をピックアップしておきましたので参考にしてください。
●独自の表現を使う職業
銀行 → 入行
省庁 → 入庁
放送局 → 入局
事務所 → 入所
ちなみに、仕事を辞めたときの表現としては、「会社」の場合も「会社以外」の場合も「退職」とするのが一般的です。
応募先が「会社以外」の場合には、書き方や呼び方はどんな点に注意すればよいのでしょうか。
履歴書の志望動機欄や面接の場では、応募先名を敬称で書いたり、呼んだりする必要があります。
応募先が「会社」なら、履歴書には「貴社」、面接では「御社」と使い分けますが、「会社以外」では「貴社」と「御社」は使いません。応募先の種類によって敬称は異なりますので、注意しましょう。
<応募先の種類ごとの「履歴書の記載」「面接での呼び方」>
面接で使われるのは話し言葉ですから、堅苦しい表現が場にそぐわないケースもあります。
銀行に使う「御行」のようにビジネスシーンでよく使われるものは別として、必ずしも「御」をつけた敬称を使う必要はありません。
「御法人」よりも、法人名に「様」をつけて「○○○様」と呼ぶ方が自然な場合もあるでしょう。「こちらの病院(または協会、団体、事務所など)」という呼び方でもOKです。
TPOを考えてベストな表現を選択してください。
履歴書の書き方見本は、職歴や応募先が「会社」の場合が多く、それを見て履歴書の書き方を理解したと思ってしまいがち。「会社以外」では、記載の仕方が異なることをご存じない方も多いのではないでしょうか。
履歴書で使う表現や敬称の使い分けは、ビジネスマナーの基本です。細かい部分なので見落としがちですが、そこがきちんとできているかどうかで、採用担当者が応募者を見る印象は変わります。
これを機会に、「会社」と「会社以外」で表現が異なることを認識し、履歴書や面接で意識して使うようにしましょう。